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星野 毅; 小林 剛*; 梨本 誠*; 河村 弘; 土器屋 正之*; 寺井 隆幸*; 山脇 道夫*; 高橋 洋一*
JAERI-Conf 2004-012, p.140 - 147, 2004/07
チタン酸リチウム(LiTiO)は、良好なトリチウム回収特性等の観点より、核融合炉ブランケット用トリチウム増殖材料として期待されている。核融合炉で発生した熱はブランケット内の冷却材へ伝達されることから、トリチウム増殖材料の熱物性を把握することは、核融合炉の設計に必要不可欠である。しかしながら、高温保持による粒成長抑制の面からLiO/TiOの組成比を変化させたLiTiOの使用が検討されているが、この組成の熱容量,熱伝導率等は、正確に確立されていない。本研究では、LiTiOについて、LiO/TiOの組成比(1.000.80)による熱物性への影響について調べた。1100Kまでの熱伝導率を評価した結果、LiO/TiOの組成比の減少とともに熱伝導率が低くなること,700K以上では熱伝導率が理論式から算出した値よりも小さくなることを明らかにした。また、熱天秤を用いた重量変化測定及びX線回折により、LiO/TiO比の減少とともに不定比性化合物へと変化すること,LiTiOの第2相が生成することがわかり、この構造変化がLiTiOの熱物性データに大きく影響を与えることを解明した。
山下 利之; 蔵本 賢一; 中田 正美; 山崎 哲*; 佐藤 剛*; 松井 恒雄*
Journal of Nuclear Science and Technology, 39(Suppl.3), p.585 - 591, 2002/11
蛍石型やパイロクロア型構造の立方晶ZrO化合物は、化学的物理的安定性が高いうえにアクチノイドを自格子中に閉じ込めることができるため、不活性マトリクス燃料や放射性廃棄物体への応用面で注目されている。これらの構造を持つ化合物では、酸素空孔の配列が重要な役割を果たす。アクチノイド酸化物-ZrO固溶体で蛍石型構造を持つ相は安定化ジルコニアと呼ばれ、すべての陽イオン,酸素イオン,酸素空孔はランダムに分布する。一方、パイロクロア構造相においては、酸素空孔の規則配列化が生ずる。本報では、アクチノイド酸化物-ZrO系に関する格子定数や相関係をレビューし、アクチノイドの原子価やイオン半径,酸素空孔配列をもとに格子定数変化やパイロクロア構造層の出現を考察する。また、最近得られた蛍石型(Np, Zr)O固溶体のメスバウア分光結果も考慮する。
高野 公秀; 伊藤 昭憲; 赤堀 光雄; 小川 徹; 沼田 正美; 木崎 實
Journal of Nuclear Science and Technology, 39(Suppl.3), p.842 - 845, 2002/11
(Cm,Pu)混合酸化物及び窒化物固溶体の線自己損傷による格子の膨張をX線解析により測定した。元の酸化物はCmの崩壊により、(Cm,Pu)Oの組成を持っていた。これを643K及び1073Kで加熱した後、格子定数の時間変化を観察したところ、約5日で変化は収束した。格子定数の膨張率はともに2.610であったが、格子定数の初期値はそれぞれ0.5394,0.5388nmであった。炭素熱還元法により酸化物から窒化物固溶体を調製し、同様に格子定数変化を観察した結果、初期の格子定数は0.4945nmで、膨張率は3.510であり、酸化物に比べて大きい膨張率であった。
馬場 信一; 鈴木 世志夫*; 高橋 常夫*; 石原 正博; 林 君夫; 斎藤 保; 相沢 静男; 斎藤 隆; 関野 甫
JAERI-Research 2001-028, 109 Pages, 2001/03
原研では、高温工学試験研究炉(HTTR)を用いた先端的基礎研究の課題の1つである「耐熱セラミックス複合材料の照射損傷機構の研究」のため、材料試験炉(JMTR)を用いた予備照射試験を進めている。本報告は、このうちの最初のキャプセル(97M-13A)に装荷した試料について、これまでに行った照射後試験(PIE)の結果をまとめたものである。照射後試験は(1)寸法変化(2)熱膨張率(3)X線パラメータ(4)不純物放射能について測定した。黒鉛系及びSiC系複合材料の測定結果は、既存の文献データと同様の傾向を示した。SiC繊維強化及びSiC粒子分散強化複合材料については、モノリシック材料と同様に、温度モニター効果が観察された。
江藤 徹二郎*; 遠藤 将一*; 今井 基晴*; 片山 芳則; 亀掛川 卓美*
Physical Review B, 61(22), p.14984 - 14988, 2000/06
被引用回数:51 パーセンタイル:87.95(Materials Science, Multidisciplinary)放射光,イメージングプレートとダイヤモンドアンビルセルを用いた角度分散X線回折その場観察によって、B1構造から菱面体晶系に歪んだNiOの格子定数に対する圧力効果を調べた。六方晶系格子で表した格子定数とは圧力の増加と伴に単調に減少した。軸比も加圧によって単調に減少しており、これは、菱面体[111]方向の歪みが増加することを示している。最近の理論計算によって示唆されていた60GPa以上でのの大きな変化は観測されなかった。
岩井 孝; 中島 邦久; 菊地 啓修; 木村 康彦; 金井塚 文雄; 関田 憲昭; 荒井 康夫
JAERI-Research 2000-009, p.36 - 0, 2000/03
JMTRにおいて最高燃焼度4.1%FIMAまで照射したウラン・プルトニウム混合窒化物燃料中のウラン、プルトニウム及び核分裂生成物の微視的な挙動を調べた。燃料ペレットのX線回折では、燃料マトリクスの格子定数が、照射前に比べて0.1~0.3%増加していたが、おもに自己照射損傷の蓄積によるものと考えられる。アクチノイド及び核分裂生成物のペレット内の分布は、おおむねペレット内での熱中性子束に依存していたが、Pdについては数m程度の析出が観察された。燃料と被覆管の境界に、プルトニウムとニッケルを含む介在物が観察され、若干の化学的相互作用が生じた可能性が示唆された。
江藤 徹二郎*; 遠藤 将一*; 今井 基晴*; 片山 芳則; 亀掛川 卓美*
Science and Technology of High Pressure (Proceedings of AIRAPT-17), p.487 - 490, 2000/00
放射光とイメージングプレートを用いた角度分散X線回折その場観察によって、B1構造から菱面体晶系に歪んだNiOの格子定数に対する圧力効果を調べ、最近の局所スピン密度近似を使った密度汎関数による理論計算と比較した。六方晶系格子で表した格子定数とは圧力の増加とともに単調に減少した。軸比も加圧によって単調に減少しており、これは、菱面体歪みが強くなることを示している。理論計算によって示唆されていた60GPa以上でのの大きな変化は観測されなかった。
高野 公秀; 伊藤 昭憲; 赤堀 光雄; 小川 徹; 吉川 静雄; 岡本 久人
Proc. of Int. Conf. on Future Nuclear Systems (GLOBAL'99)(CD-ROM), 4 Pages, 1999/00
マイナーアクチノイドの消滅処理において、その候補燃料の一つに窒化物がある。しかしマイナーアクチノイドの窒化物については物性はおろか、調製の報告例も数少ない。われわれは炭素熱還元法によりアメリシウム窒化物の調製に成功した。X線回折の結果から、AmNの格子定数は0.4998nmであった。アメリシウム酸化物による回折線は観測されなかったが、格子定数のほかの文献値との比較から、AmNに酸素が固溶したAm(N,O)であると推測される。今後、加熱温度、C/Am比等の条件を最適化することにより、より酸素濃度の低いアメリシウム窒化物を得られることが期待される。
荒井 康夫; 中島 邦久; 芹澤 弘幸; 菊地 啓修; 鈴木 康文; 井上 正*
JAERI-Tech 98-022, 21 Pages, 1998/06
超ウラン元素化合物や合金の高温物性や相状態に関する研究を行う目的で製作した高温X線回折装置について記述したものである。高温X線回折装置は、X線発生装置、ゴニオメーター、X線計数装置、試料高温装置、冷却水送水装置、真空排気系、ガス供給系、ワークステーション及び格納用グローブボックスから構成される。また、装置の据え付け終了後に行った各種性能試験の結果についても述べた。
荒井 康夫; 中島 邦久; 鈴木 康文
Journal of Alloys and Compounds, 271-273, p.602 - 605, 1998/00
被引用回数:16 パーセンタイル:67.98(Chemistry, Physical)ネプツニウムを含む一窒化物固溶体、(U,Np)N及び(Np,Pu)Nの熱伝導度を、740-1630Kの温度範囲で測定した。試料には、炭素熱還元で調製したUN,NpN及びPuNを機械混合の後、窒素-水素混合気流中で加熱して固溶体化したものを用いた。熱伝導度は、レーザフラッシュ法で測定した熱拡散率、文献値から推定した比熱容量及び試料の形状密度から求めた。測定温度範囲において固溶体試料の熱伝導度は、UN等と同様に温度とともに漸増する温度依存性を示した。また、組成依存性についてはUN側からPuN側に向けて減少し、とりわけ(U,Np)NではUNリッチ領域、また(Np,Pu)NではNpNリッチ領域で熱伝導度が大きく減少する傾向を示した。この熱伝導度の減少は、主に電子伝導の寄与の減少によるものと推定した。
山下 利之; 武藤 博; 辻 利秀*; 中村 幸典*
Journal of Alloys and Compounds, 271-273, p.404 - 407, 1998/00
被引用回数:9 パーセンタイル:55.04(Chemistry, Physical)NpPUO(y=0,0.05,0.1,0.2,0.5)固溶体の熱膨張を高温X線回折法により空気又は水素気流中、室温から1000Cの範囲で測定した。室温におけるNpPUOの格子定数はNp量と共に直線的に増加したことから、NpOとPuOはほぼ理想的な固溶体を形成すると考えられる。700C以下の温度では、空気中及び水素中で加熱した試料の格子定数は互いに等しく、このことから、空気中で加熱した試料は、定比組成(O/M=2.00)となっていると考えられる。700C以上の温度では、水素中で加熱した試料の格子定数は、空気中加熱のものの値より大きくなり、1000Cでは、両者の差は約0.1pmとなった。これは、試料が還元されたためと考えられるが、NpUOのx値は1000Cでも0.01以下と推定される。
荒井 康夫; 中島 邦久; 鈴木 康文
Proc. of 4th Int. Information Exchange Meeting on Actinide and Fission Product Partitioning and Transm, 0, p.347 - 357, 1997/00
ほぼ全組成領域をカバーする、ネプツニウム・プルトニウム混合窒化物固溶体を調製し、その性質を調べた。固溶体試料はそれぞれ炭素熱還元法で調製したネプツニウム窒化物とプルトニウム窒化物の混合成型体を、窒素-水素混合ガス気流中において2023Kで熱処理することにより調製した。室温でのX線回折により単相の固溶体形成を確認するとともに、格子定数の組成依存性を調べた。また、高温質量分析法による蒸気圧測定、レーザーフラッシュ法による熱拡散率測定を行い、気相中のNp(g)及びPu(g)分圧の温度依存性ならびに組成依存性や、熱拡散率から求めた固溶体試料の熱伝導度等について新しい知見を得た。
荒井 康夫; 前多 厚; 塩沢 憲一; 大道 敏彦
Journal of Nuclear Materials, 210, p.161 - 166, 1994/00
被引用回数:29 パーセンタイル:89.8(Materials Science, Multidisciplinary)照射下におけるウラン・プルトニウム混合窒化物燃料中の固体FPの化学形態を、熱力学平衡計算および燃焼度模擬燃料のEPMA観察により推定した。計算は自由エネルギー最小化法に基づくSOLGASMIX-PVを用い、燃料温度および燃焼度をパラメータとした。一方実験では、英国ハーウエル研究所より入手した燃焼度模擬酸化物を炭素熱還元により窒化物に転換し、その焼結ペレットを観察用試料に供した。本実験および計算の結果は概ね良い一致を示した。すなわち、主な固体FPの中で、ジルコニウム、ニオブ、イットリウムおよび希土類元素等は燃料母相に固溶する一方で、析出相としてウランと白金属元素から構成されるURu型の金属間化合物およびモリブデンを主成分とする合金相の形成が確認された。また、本計算結果に基づき、燃料中への固体FPの蓄積によるスエリング率を、%FIMA当たり0.5%と評価した。
荒井 康夫; 森平 正之*; 大道 敏彦
Journal of Nuclear Materials, 202, p.70 - 78, 1993/00
被引用回数:30 パーセンタイル:91.52(Materials Science, Multidisciplinary)窒化物燃料中に混入する不純物酸素が種々の燃料特性に与える影響を調べた。始めに炭素熱還元法により、通常量の酸素(0.1~0.2wt.%)を含有するウラン窒化物並びにウラン・プルトニウム混合窒化物を合成した。次に、これらに酸化物粉末を添加した上で焼結することにより、~0.3,~0.6及び~1.0wt.%の酸素を含有するペレットを調製した。化学分析、X線回折、顕微鏡組織観察により、燃料の化学組成、不純物酸素の挙動などを調べた。さらに、レーザーフラッシュ法により熱拡散率を測定し、試料の熱伝導度を求めた。これらの結果から、添加された不純物酸素の大半は第二相の酸化物中に存在すること、不純物酸素の混入によりマトリクスの結晶粒の成長が著しく抑制されること、~1.0wt.%の酸素の混入により試料の熱伝導度は約10%減少することなどの知見が得られた。
鈴木 康文; 前多 厚; 荒井 康夫; 大道 敏彦
Journal of Nuclear Materials, 188, p.239 - 243, 1992/00
被引用回数:21 パーセンタイル:84.68(Materials Science, Multidisciplinary)混合窒化物、(UPu)N(x=0,0.20,0.35,0.60,0.80,1.00)のU及びPu蒸気圧をクヌーセン・質量分析法によって測定した。窒化物試料は炭素熱還元で得られたUN及びPuNの混合物を均質化することによって調製して実験に供した。生成物については、X線回折によって固溶体形成の確認を行った。また、(U,Pu)N相の格子定数の組成依存性を調べた。蒸気圧測定は1mm径オリフィスのタングステンセルを用いて実施した。UN及びPuNに対しては、文献値とのよい一致がみられた。また、混合窒化物では固溶体比によりU及びPuN分圧の低下することが認められた。(U,Pu)N中のPuNの活量を評価した結果では、理想容体からはずれることが示唆された。
早川 一精*; 上薗 裕史
Mater. Res. Soc. Symp. Proc., Vol. 257, p.257 - 263, 1992/00
パイロクロール構造を有するLaZrOは、低浸出性を有することが明らかとなっている。LaZrOのLaサイトは、イオン半径の観点からアクチノイド、ランタノイド、アルカリ土類金属元素で置換可能と考えられる。これら元素の固溶限を明らかにするため、模擬成分として、Ce,Nd,SrをLaZrOに添加し、1400C、空気中で焼成して生成するパイロクロール結晶の格子定数より固溶度限を検討した。LaZrOのLaサイトにNdは完全固溶し、Ceは27mol%固溶した。SrとCeを同割合で添加することにより、Ceの固溶量が増加すること、Srの固溶量が5mol%以下であることが明らかとなった。またCeは、LaZrOよりもNdZrOの方により多く固溶することがわかった。これらの固溶現象を、イオン半径、結晶構造の観点から考察した。本結果よりLaZrO(パイロクロール)は、アクチノイド、ランタノイド元素を固化するためのマトリックス材料として、有用なことが示された。
赤堀 光雄; 伊藤 昭憲; 白鳥 徹雄; 井川 勝市; 柴 是行
JAERI-M 87-016, 18 Pages, 1987/02
Tho系燃料の照射による格子定数変化に及ぼす照射温度の影響について、計装キャプセルを用いた高温照射(300~500C)により調べた。その結果、(Th,U)Oの照射による格子定数の増加は照射温度が高いほど低くなる事がわかった。回復挙動からは、高温での照射により回復開始温度が高くなる事がわかった。一方、ThOへのCaO,YO,及びNbOの添加は、格子定数増化の照射下回復および回復開始温度の増加を促進する事がわかった。また、実温照射デ-タとの比較を行い、照射温度の影響について考察した。
福島 奨; 大道 敏彦; 半田 宗男
J.Less-Common Met., 121, p.631 - 636, 1986/00
被引用回数:13 パーセンタイル:80.28(Chemistry, Physical)ウラン・プルトニウム及びこれらの混合酸化物燃料の熱伝導度に及ぼす固溶希土類元素の影響について組織的な研究を行った。希土類元素としては、Nd、Sm、Eu及びGdを選び、これにYを含めて、0~15Mol%濃度範囲及び700~1900Kの温度範囲について調べた。固溶体の熱伝導度は、実測した熱拡率及び文献に報告された酸化物燃料及び希土類酸化物の値から推測した固溶体の比熱及び熱膨張係数を用いて求めた。得られたデータをAmbegaokerの導出した誘電体に関する熱伝導度式に導入して、歪パラメータを算出した。この結果、上記酸化物燃料と希土類元素固溶体の熱伝導度について任意の希土類酸化物含有量(最大15Mol)及び700~1550Kの温度範囲について、半理論的に計算で求めることが可能となった。
赤堀 光雄; 柴 是行
Journal of Nuclear Science and Technology, 23(7), p.594 - 601, 1986/00
被引用回数:3 パーセンタイル:40.87(Nuclear Science & Technology)(Th,U)Oペレットの寸法,微細構造に対する照射効果を格子定数,密度変化の測定および気孔構造の観察により検討した。照射生成欠陥の濃度および損傷体積を単純モデルにより評価した。巨視的および微視的寸法変化は照射とともに増加した後、減少することが解った。両者の差は照射とともに増大し、それより照射生成格子間原子が集合体を形成したり、消滅源に移動することにより空孔濃度が格子間原子濃度に比べ過剰になることが示された。空孔に対する損傷体積は約110mfissionと評価され、ほぼ核分裂Xe放出での損傷体積に一致した。気孔観察から、2~310m以下の小さな気孔の体積率が照射により減少し、その分布が大気孔側にずれることが解った。
片野 吉男; 有賀 武夫; 白石 健介
Journal of Nuclear Materials, 132, p.32 - 40, 1985/00
被引用回数:4 パーセンタイル:54.54(Materials Science, Multidisciplinary)ステンレス鋼へのN-イオン照射効果については、既に照射によるボイドスエリング挙動(J.Nucl.Mater 103-104(1981)1053)及び深さ分布挙動(同誌122-123(1984)191)をそれぞれ発表して来たが、本研究では、照射による析出効果について電子顕微鏡により組織観察で調べた。1.1MeVのN-イオンを照射温度803Kで照射量60dpaまで行なった。この時損傷ピーク位置おける照射速度は約0.3at%/dpaである。照射量20dpaの組織観察では、クランクループ上又は母相中に微細な析出物が観られ、電子線回折(SAD)の結果'相の回折斑点が認められ、X-線分析(EDS)により、それらは、Ni及びSi偏析による'相(NiSi)であることがわかった。更に照射量を42および60dpaにすると、各々の照射量と共に板状折出物が観察され、それぞれ析出物の平均径は18nmおよび28nmであった。又数密度は、照射量に依存せず、約7.410/m程度である。この板状析出物はSAD及びEDSの解析によりCrN相であることがわかった。このようにステンレス鋼へのN-イオン照射では高密度の'相やCrN相の照射析出が起こることが明らかとなった。